合同会社の設立を考えている人は、どれぐらいの期間で設立できるのか興味がありますよね。合同会社の設立は、株式会社よりも設立費用がかからず、用意する書類も少ないので、短期間で会社設立ができます。
この記事では、最短1日で合同会社を設立する方法、10個のメリットと3つのデメリットを紹介します。
合同会社の設立期間は、どれぐらい?
合同会社の設立期間は、どれぐらいしょうか。社員数にもよりますが、会社設立の手続きであれば、最短1日でできます。
資本金の払い込みや法務局の審査込みだと、3日~1週間以内に合同会社の設立ができます。
「合同会社や株式会社の設立期間の違いを知りたい人」は、会社設立にかかる期間はどれくらい?手続きや費用を解説も参考にしてください。
合同会社の設立手順(最短1日コース)
合同会社の設立手順について紹介します。6つのステップなので、株式会社よりも簡単ですよ。
ステップ0:設立費用を知ろう
まずは、合同会社の設立費用を知ってください。株式会社よりも費用がおさえられるので「会社設立したいけど、お金をかけたくない」といった人におすすめです。
合同会社と株式会社の設立費用の違いは、以下のとおり。
【合同会社と設立費用における費用の違い】
項目 | 合同会社 | 株式会社 |
登録免許税 (電子定款利用時は この費用だけ) | 6万円~ | 15万円~ (資本金が2,143万円未満) |
定款印紙代 (電子定款を使わない) | 4万円 | 4万円 |
定款認証手数料 | なし | 5万2,000円 |
印鑑作成・定款謄本の費用 | 2,000円~1万円 | 2,000円~1万円 |
税理士さんへの費用 | 2万円~5万円 | 2万円~5万円 |
合計 | 9~16万円 | 27~30万円 |
登録免許税が安くて、定款認証手数料のない合同会社の費用が安いですね。
ステップ1:合同会社の項目を決めよう!!
合同会社の設立する時は、はじめに「項目」を決めましょう。以下のような項目を作成してください。
【合同会社を最短でするための基本事項の策定】
- 会社名(例:合同会社●●●、●●●合同会社)
- 本社の住所(自宅でもOK)
- 事業内容
- 出資金額(50~300万円が多い)
- 代表社員を決める
- 役員を決める
- 経営者を決める
- 会社名の重複チェック(国税庁で検索)
事業年度、出資金、会社名の重複チェックは、大切です。
事業年度では、決算時期を決めることで、税金の支払いにかかわります。出資金が1,000万円以上になると、消費税の支払いが必要です。
会社名が重複していると、訴訟のリスクも大きくなります。国税庁の「法人番号公表サイト」で、設立予定の会社名を調べてください。
ステップ2:定款を作成
合同会社の項目を決めたら、印鑑の作成に必要な定款の作成をします。合同会社では、株式会社のような公証役場による定款認証が不要なので、テンプレートがあれば1時間で定款の作成ができます。
定款に記載する項目は、以下のとおり
【合同会社の定款に記載する16の項目】
- 会社名付きの
- 表紙
- 会社名
- 事業内容
- 本店の住所
- 告知(電子告知の場合は、ホームページを作成)
- 出資金と社員名
- 社員の責任範囲
- 代表社員
- 業務をする社員名
- 新規社員の記入(追加した場合)
- 退社のルール
- 事業開始の年度
- 事業年度
- 押印(電子定款は、電子署名を利用)
- 利益の分配方法
電子定款を利用する場合は、以下のとおり
【電子定款で必要な5つのアイテム一覧】
- パソコン(1万円~10万円前後)
- PDF署名プラグイン(無料)
- マイナンバー(発行まで1か月)
- PDFソフト(無料)
- ICカードリーダー(2,000円前後)
また、合同会社を設立する時は、いろいろなパターンがあります。
【合同会社における4つのパターン一覧】
- 代表社員が1人
- 代表社員が2~3人
- 個人の合同会社
- 法人の合同会社
スピーディーな事業運営をしたい人は、代表社員を1人にしましょう。
「合同会社用の定款の書き方を知りたい人」は、【雛形】合同会社の定款作成法|定款の内容や書き方を分かりやすく解説も参考にしてください。
ステップ3:出資金の支払い
定款で社員の出資金を決めたら、代表者の口座へ資金を集めます。合同会社の設立には、出金の払込証明書・通帳のコピーが必要なので、支払いを済ませてください。
出資者の名前が分かるように、備考欄などに社員名を書きましょう。一括払いだと名前が分からないので、注意してください。
出資金の払込証明書を作成するため、通帳のコピーを取りましょう。通帳なしのネット銀行しかない人は、メガバンクの口座開設も忘れないでください。
ステップ4:合同会社登記の書類作成
出資金の支払いをしたら、合同会社の登記書類を作成します。合同会社は、株式会社よりも登記に必要な書類が少ないですね。
基本的には、以下の5つの書類を揃えてください。
【合同会社の登記に必要な5つの書類】
- 設立登記申請書
- 印鑑届出書
- 払込証明書
- 代表社員の就任証明書
- 本店の住所と資本金の確定書類
出資金を現物支給(パソコン、自動車、土地)した場合は、財産引継書の作成も必要です。
詳しい書類については、以下の記事を参考にしましょう。
ステップ5:法務局で合同会社の登記
合同会社の登記書類を作成したら、法務局へ書類を提出します。法務局への提出日が、合同会社の設立日になるので、覚えてください。
注意点としては、法務局の空いている時間が、平日の8時30分~17時15分です。土日祝日や年末年始は提出できないので、注意してください。
「合同会社設立の手順・スケジュールをおさらいしたい人」は、合同会社設立の流れとは?手続き・費用・設立にかかる期間なども参考にしてください。
ステップ6:税務署に開業届を提出
ステップ5で合同会社の設立手続きは、完了です。ビジネスをするには、税務局、年金事務所、労働基準監督署に書類の提出が必要になります。
提出先ごとの書類リストは、以下のとおり。
【税務署へ提出する4つの書類】
提出書類名 | 提出期限 |
青色申告の承認申請書 | 会社設立から3ヶ月以内 |
法人設立届出書 | 会社設立日から2か月以内 |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 適用受付月の月末まで 例:2021年6月に適用を受けたい場合 2021年5月末までに提出 |
給与支払事務所等の開設届出書 | 会社設立から1か月以内 |
【法人設立届出書を提出する2つの事業所一覧】
提出先 | 提出書類名(添付書類) | 提出期限 |
都道府県税事務所 | 法人設立届出書 (定款の写し/登記事項証明書) | 会社設立日から1か月以内 |
市町村自治体(市町村役場) | 法人設立届出書 (定款の写し/登記事項証明書) | 提出する自治体による |
【年金事務所に提出する社の3つの書類一覧】
提出先 | 提出書類名(添付書類) | 提出期限 |
本社近くの年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険新 | 会社設立日から5日以内 |
規適用届け (登記簿/法人番号の指定通知書) | ||
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 | 被保険者資格を取得後5日以内 | |
健康保険被扶養者届(扶養者がいる場合のみ/戸籍謄本) | 扶養者がいる場合は、5日以内 |
<労働基準監督署へ提出する4つの書類>
提出書類名(添付書類) | 提出期限 |
労働保険保険関係成立届 (登記簿) | 社員を採用した日の翌日から10日以内 |
労働保険概算保険料申告書 | 労働者を採用した日から 50日以内 |
就業規則届 (就業規則の作成又は変更に関する労働者代表の意見書) | 10人以上の社員がいる場合、早めに提出 |
適用事業報告書 | 家族以外の社員を採用した日に提出 |
合同会社設立後の書類は、社員数によって違います。
必要な書類を揃えてください。
「会社設立後に必要な書類と提出先を知りたい人」は、2つの記事も参考にしてください。
会社設立後に必要な契約書とは?それぞれの場面で必要になる契約書の書き方を解説!
会社設立後に必要な届出まとめ | 法人設立届出書の提出先は?
合同会社の10大メリット
合同会社の設立方法や設立後の手続きを紹介しました。しかし、合同会社の設立期間を知りたい人は「株式会社にはないメリット」を把握したいですよね?
そんな人に向けて「合同会社における10個のメリット」を紹介します。
その1:合同会社の設立費用は安い
合同会社を選ぶメリットは、設立費用が安さです。株式会社では、約30万円前後の費用がかかります。しかし、合同会社は、10万円前後の費用で設立ができます。
「株式会社じゃなくても良いから、設立費用を節約したい」
「手持ちの資金が少ない」
といった人に、合同会社の設立はおすすめです。
その2:合同会社の維持費は安い
合同会社は、維持費(ラーニングコスト)が安いです。合同会社の設立では、決算公告費用(ホームページのみ1万円、官報への掲載:5万円~10万円)、総会費用、役員登記費用(約3万円)がかからないので、株式会社の設立費用よりも数10万円の節約ができます。
その3:合同会社設立時の定款認証が不要
合同会社の設立時は、定款認証が不要です。株式会社では、公証役場での定款認証が必要なので、1回約5万円の費用がかかります。
その4:役員の更新が不要
合同会社では、役員の更新が不要です。株式会社では、取締役と監査役の期限が決められており、継続する時は定款に書かなければいけません。
株式会社の契約更新・終了のルールは、以下のとおり。
【株式会社の契約更新・終了のルール】
- 取締役:2年ごとに契約または終了
- 監査役:4年ごとに契約または終了
合同会社は、役員の更新をしなくて良いので、面倒な手続きが不要です。
その5:倒産時の責任追及が軽い
合同会社は、倒産時の責任追及が軽いです。株式会社であれば、株主や債権者への責任を果たさなければいけません。
合同会社では、会社の運営資金は戻りませんが、それ以上の責任を問われないです。気軽にチャレンジしやすくて、低リスクなのがメリットです。
その6:株式会社にもなれる
合同会社のメリットは、株式会社への変更もできます。合同会社としてスタートして、業績、社員の増加、銀行などの融資確保ができたら、株式会社にするといった戦略も立てられます。
株式会社への変更すると、以下のような費用が必要です。
【合同会社から株式会社の変更でかかる費用】
項目 | 手数料 |
登録免許税 | 15万円~ |
(電子定款利用時はこの費用だけ) | (資本金が2,143万円未満) |
定款印紙代(電子定款を使わない) | 4万円 |
定款認証手数料 | 5万2,000円 |
印鑑作成・定款謄本の費用 | 2,000円~1万円 |
税理士さんへの費用 | 2万円~5万円 |
合計 | 27~30万円 |
合同会社よりも設立費用・維持費がかかるので、メリット・デメリットを考慮して、株式会社への変更を考えましょう。
その7:組織をカスタマイズしやすい
合同会社は、組織のカスタマイズがしやすいです。株式会社では、取締役会を設置すると監査役が必要になります。
合同会社は、定款内容を決めるだけなので、自由な会社運営ができます。
その8:フットワークの軽い会社運営
合同会社は、柔軟性のある会社運営ができます。株式会社の場合は、新しいビジネスアイデアを思いついても、稟議書の作成など承認までの時間がかかります。
合同会社は、手続きを簡略化できるので、スピード感のあるビジネス展開も可能です。
その9:あの有名企業も合同会社を採用
合同会社は、有名企業も採用している点です。合同会社=マイナー企業のイメージですが、有名企業も合同会社として運営しています。
【有名企業編!! 10の合同会社一覧】
- アマゾンジャパン合同会社
- グーグル合同会社
- P&G合同会社
- 乃木坂46合同会社
- 合同会社西友
- ユニバーサルミュージック合同会社
- ワーナーブラザースジャパン合同会社
- クロックスジャパン合同会社
- AppleJapan合同会社
- 合同会社DMM.com
その10:利益の取り分を決めやすい
有限会社は、利益の取り分を決めやすいです。株式会社になると、持ち株比率に応じて利益を分配しています。そのため、筆頭株主(大株主)の取り分が大きいです。
合同会社では、出資額の大小と取り分の大きさがリンクしません。代表社員で話し合いをして、自由に決められるのがメリットです。
合同会社の3大デメリット
合同会社における10のメリットを紹介しました。しかし、合同会社にも少なからずデメリットもあります。
ここからは、合同会社における3つのデメリットを紹介します。
その1:信用度が低い
合同会社は、株式会社よりも信用度が低いです。株式会社は、合同会社よりも手続きや費用もかかりますが、信用度は高いでしょう。
合同会社は、設立費用の安いといったメリットがある一方、世間の認知度も低いので信用されません。
フリーランスよりも法人の信用度が高いのと同じです。
その2:権限を持つ人が多い
合同会社のデメリットは、権限を持つ人が多いことです。合同会社では、代表社員(出資者)に業務執行権が与えられます。
業務がしやすいメリットもある一方、権限を持つ人が多いので、統制が取りにくいのがデメリットです。
ただし、社員数が1人の合同会社であれば、デメリットではありません。
その3:株式上場ができない
合同会社は、株式上場ができません。株式会社は、取引所に上場すると株主から資金を集められます。
合同会社では、代表社員の資金と銀行からの融資など、資金調達の方法が限られるので、事業を拡大しづらいです。
しかし、サントリーなど未上場や合同会社の成功企業もあるので、合同会社=事業が拡大できないとは言い切れません。
「記事を読んだけど、合同会社の設立に向いているのかわからない」という人は、合同会社の設立に向いている人とは?メリットとデメリットを解説も参考にしてください。
合同会社の設立期間を知りたい人は「会社設立のプロ」に聞こう!!
合同会社の設立期間は、最短1日です。短期間で設立できるメリットもありますが、定款などの提出書類の不備があると、設立まで手間と時間がかかります。
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