会社設立後の費用
会社設立時だけではなく、設立後も費用(ランニングコスト)がかかります。会社設立をするなら、軌道に乗るまでの余裕資金も必要です。
ここからは、会社設立後にかかる費用をを紹介します。必要な費用を紹介するので、節約できる費用は節約してください。
社会保険料
会社設立をすると、社会保険料がかかります。法人化すれば、 社会保険への加入が必要です。
「従業員なしなら、加入しなくてもいいのでは」という人もいるかもしれませんが、 一人社長の会社でも、社会保険の加入は必須です。
個人事業主の廃業時にかかる費用
会社設立したら、個人事業主を廃業しなければいけません。廃業届の費用はかかりませんが、事業によっては引き継ぎ費用がかかります。
自己判断すると税金で不利になるので、専門家へ相談してください。
登記費用
登記費用は、会社設立後も必要でしょう。なぜなら、会社設立をしていれば、登記が必要になるからです。
例えば、Aの事業だけをしていたが、Bの事業を立ち上げる場合、登記申請の費用がかかります。
ほかにも、許認可の取得や権利など、登記費用のかかるケースがあります。登記申請書類の作成時間と正しい書類が必要なので、専門家へ依頼をしましょう。
税金
会社設立をしたら、5つの税金がかかります。 個人事業主では不要の税金もあり、以下の表を参考にしてください。
【会社設立すると支払う税金一覧】
税金の種類 |
税率 |
支払期限 |
法人税 |
15%~23.20% |
5月末ただし、新型コロナウィルスの影響を受けた場合は、猶予あり |
法人住民税 |
都道府県県民税:法人税の5% |
5月末 |
法人事業税 |
自治体によります |
5月末 |
消費税 |
8~10% |
法人は課税期間中末日の翌日から2か月以内 |
固定資産税 |
固定資産評価額×1.4% |
自治体によるが、1年で4回の納付が必要 |
法人税は、法人のタイプ、所得によって税率が変わります。以下の表を参考にしてください。
【法人税一覧】
区分 |
適用関係(開始事業年度) |
||||||
平28.4.1以後 |
平30.4.1以後 |
平31.4.1以後 |
|||||
普通法人 |
資本金1億円以下の法人など(注1) |
年800万円以下の部分 |
下記以外の法人 |
15% |
15% |
15% |
|
適用除外事業者 |
19%(注2) |
||||||
年800万円超の部分 |
23.40% |
23.20% |
23.20% |
||||
上記以外の普通法人 |
23.40% |
23.20% |
23.20% |
||||
協同組合等(注3) |
年800万円以下の部分 |
15% |
15% |
15% |
|||
【16%】 |
【16%】 |
【16%】 |
|||||
年800万円超の部分 |
19% |
19% |
19% |
||||
【20%】 |
【20%】 |
【20%】 |
|||||
公益法人等 |
公益社団法人、公益財団法人又は非営利型法人 |
収益事業から生じた所得 |
年800万円以下の部分 |
15% |
15% |
15% |
|
年800万円超の部分 |
23.40% |
23.20% |
23.20% |
||||
公益法人等とみなされているもの(注4) |
年800万円以下の部分 |
15% |
15% |
15% |
|||
年800万円超の部分 |
23.40% |
23.20% |
23.20% |
||||
上記以外の公益法人等 |
年800万円以下の部分 |
15% |
15% |
15% |
|||
年800万円超の部分 |
19% |
19% |
19% |
||||
人格のない社団等 |
年800万円以下の部分 |
15% |
15% |
15% |
|||
年800万円超の部分 |
23.40% |
23.20% |
23.20% |
||||
特定の医療法人 (注5) |
年800万円以下の部分 |
下記以外の法人 |
15% |
15% |
15% |
||
【16%】 |
【16%】 |
【16%】 |
|||||
適用除外事業者 |
|
|
19%(注6) |
||||
|
|
【20%(注6)】 |
|||||
年800万円超の部分 |
19% |
19% |
19% |
||||
【20%】 |
【20%】 |
【20%】 |
法人事業税も、自治体によって変わります。東京都の例を参考にするので、以下の表を参考にしてください。
【法人別の法人事業税の税率一覧(東京都)】
事業の区分 (地方税法第72条の2第1項各号) |
法人の種類 |
事業税の区分 |
税率(%) |
|||||||||
令和2年4月1日以後に開始する 事業年度 |
令和元年10月1日から令和2年3月31日まで に開始する事業年度 |
平成28年4月1日から令和元年9月30日までに開始する事業年度 |
||||||||||
不均一課税適用法人の税率(標準税率) |
超過税率 |
不均一課税適用法人の税率(標準税率) |
超過税率 |
不均一課税適用法人の税率(標準税率) |
超過税率 |
|||||||
1号 |
2号及び3号以外の事業 |
① |
普通法人(②及び③の法人を除く) 公益法人等 人格のない社団等 |
所得割 |
軽減税率適用法人 |
年400万円以下の所得 |
3.5 |
3.75 |
3.5 |
3.75 |
3.4 |
3.65 |
年400万円を超え年800万円以下の所得 |
5.3 |
5.665 |
5.3 |
5.665 |
5.1 |
5.465 |
||||||
年800万円を超える所得 |
7.0 |
7.48 |
7.0 |
7.48 |
6.7 |
7.18 |
||||||
軽減税率不適用法人 |
||||||||||||
② |
特別法人 〔法人税法別表三に掲げる協同組合等(農業協同組合、信用金庫等)及び医療法人〕 |
所得割 |
軽減税率適用法人 |
年400万円以下の所得 |
3.5 |
3.75 |
3.5 |
3.75 |
3.4 |
3.65 |
||
年400万円を超える所得 |
4.9 |
5.23 |
4.9 |
5.23 |
4.6 |
4.93 |
||||||
軽減税率不適用法人 |
||||||||||||
③ |
外形標準課税法人 〔資本金の額(又は出資金の額)が1億円を超える普通法人(特定目的会社、投資法人、一般社団・一般財団法人は除く)〕 |
所得割 |
軽減税率適用法人 |
年400万円以下の所得 |
(0.4) |
0.495 |
(0.4) |
0.495 |
(0.3) |
0.395 |
||
年400万円を超え年800万円以下の所得 |
(0.7) |
0.835 |
(0.7) |
0.835 |
(0.5) |
0.635 |
||||||
年800万円を超える所得 |
(1.0) |
1.18 |
(1.0) |
1.18 |
(0.7) |
0.88 |
||||||
軽減税率不適用法人 |
||||||||||||
付加価値割 |
― |
1.26 |
― |
1.26 |
― |
1.26 |
||||||
資本割 |
― |
0.525 |
― |
0.525 |
― |
0.525 |
||||||
2号 |
電気供給業(小売電気事業等・発電事業等・特定卸供給事業*を除く)、ガス供給業、保険業又は貿易保険業 |
収入割 |
1.0 |
1.065 |
1.0 |
1.065 |
0.9 |
0.965 |
||||
3号 |
小売電気事業等 、発電事業等又は特定卸供給事業* |
①及び②の法人 |
収入割 |
0.75 |
0.8025 |
1.0 |
1.065 |
0.9 |
0.965 |
|||
所得割 |
1.85 |
1.9425 |
― |
|||||||||
③の法人 |
収入割 |
(0.75) |
0.8025 |
(1.0) |
1.065 |
(0.9) |
0.965 |
|||||
付加価値割 |
― |
0.3885 |
― |
事務所の賃料
会社設立後に事務所を借りると、賃料がかかります。一人社長であれば、自宅兼事務所や格安なレンタルオフィスで節約ができます。従業員が必要な仕事なら、事務所の賃料は必要です。
自治体によりますが、ベンチャー向けの安い事務所を貸してもらえます。立地、広さ、オプションにより賃料が変わるので、複数の空き事務所を比較してください。
光熱費
事務所やお店を借りた場合は、光熱費も必要です。例えば、夏ならクーラーで、冬だと暖房もかかりますよね?
光熱費も固定費の1つですが、契約先やアンペアの変更で節約をしましょう。
宣伝費用
自社製品がある場合は、宣伝費用もかかります。テレビ、ラジオ、電車のつり革広告など、さまざまな方法があるでしょう。
インターネット広告の場合は、会社の予算に合わせた宣伝も可能です。
ホームページ作成・管理費
会社設立後は、ホームページの作成・維持費用がかかります。ホームページから集客を考えていなければ、WIXやペライチといったホームページ作成サービスでOKです。
「ホームページを利用して取引先や顧客を増やしたい」という人は、ホームページ制作会社やフリーランスのWebデザイナーに依頼しましょう。
費用はピンキリで、フリーランスは安くて、作業者によってアタリとハズレがあり、ホームページ作成会社は、費用が高いけど、効果を感じられます。
ただし、ホームページ作成会社でも、費用が高いだけの詐欺的業者もいます。相見積もりした上で依頼先を決めてください。
ホームページ作成ができる従業員を雇う場合、人件費がかかります。基本的なプログラミング・デザインの知識があれば、費用を節約できます。
通信・電話代
通信費は、インターネットや電話の利用料です。電話代は、お得な法人プランや格安SIMを活用して、毎月の固定費を節約してください。業務で利用したものは、経費として計上してください。
採用にかかる費用
会社設立をすれば、採用費用がかかります。タウンワークやバイトルのような求人広告だと費用がかかり、Indeedやスタンバイみたいな無料求人サイトやジモティー系の掲示板型も利用してください。
名刺作成費用
会社設立をすると、名刺作成費用がかかります。法人になると、取引先の打ち合わせで名刺交換が必要になります。
フォトショップやイラストレーターでの作成もできますが、プリントパックなどのネット通販に依頼してください。
専門家の顧問費用
税理士や司法書士と顧問契約をすると、月額費用がかります。「それなら、顧問契約しない方がいいのでは?」と考えるかもしれません。
専門家と顧問契約をすれば、節税対策、経営分析、トラブル対処、仕訳・決算申告の代行ができます。
めんどうな作業を丸投げできるため、あなたは事業だけに注力できます。
この記事でも解説中
会社設立の費用を節約する方法
会社設立後にかかる費用を紹介しました。会社設立をすれば、いろいろな税金や費用がかかると分かりましたね。
つづいては、会社設立時・設立後の費用を節約する方法を紹介します。
会社設立時の節約方法
会社設立時の節約方法は、以下の2つです。
代行業者の相見積もりを取る
会社設立時に節約したい人は、代行業者の相見積もりを取りましょう。代行業者には、顧問契約なしとありの代行業者があります。
顧問契約なしでは、会社設立の費用が高く、顧問契約手数料がかかりません。顧問契約ありなら、会社設立時の費用は節約できますが、顧問契約手数料が必要です。
「それなら、顧問契約なしの代行業者がお得では」と思いますよね?顧問契約なしでは、設立後のサポートもなく、自分で節税対策や経営分析が必要です。
顧問契約ありの代行業者なら、あなたの代わりに上記の作業をします。顧問契約手数料以上の価値がある代行業者もあります。
会社設立時に節約したい人は、気軽に相談しましょう。
電子定款の利用
会社設立の費用を節約するなら、電子定款を利用してください。電子定款なら、紙の定款でかかる40,000円の印紙代がかかりません。
電子定款に対応した会社設立代行業者を選んでください。
会社設立後の費用を節約する方法
会社設立後の節約方法を紹介しました。ここからは、会社設立後に効果的な3つの節約方法を紹介します。
会社設立費用を経費にする
会社設立費用を経費にすれば、税金を安くできます。会社設立費用は、表に書かれた仕訳で計上できます。
【会社設立すると支払う税金一覧】
仕訳の種類 | 計上できる費用例 |
創立費 | 定款作成にかかった費用 定款認証の費用 登録免許税 専門家の顧問契約手数料 |
開業費 | 打ち合わせ費用求人・宣伝広告費 ユーザーニーズ調査 開業に必要なセミナー開業までの借入金利 |
事務所の賃料、消耗品費、仕入れ費用は、創立日や開業費になりません。人件費も対象外ですが、開業時の短期スタッフを雇うと、開業費に計上できます。
事務所の家賃を節約する
会社設立後の費用を節約するなら、家賃も節約しましょう。家賃の高い東京都でも、エリア、広さなど業者によります。
エリアごとの相場表を比較しながら、事務所の家賃を節約してください。
自分で決算申告する
自分で決算申告をすれば、会社設立後の費用を節約できます。記帳代行の相場は、月10,000円~30,000円です。
年120,000円~360,000円なので、自分で決算申告すれば節約できます。
会社設立後は、費用をかけても専門家に依頼すべき3つの理由
会社設立後は、費用をかけても専門家に依頼した方が2つの理由を紹介します。
正しい決算申告ができる
専門家へ依頼すると、正しい決算申告ができます。自分で決算申告もできますが、不備のある決算申告だと、税務調査が入るかもしれません。
税務調査も安心
会社設立後に専門家に依頼すれば、税務調査も安心です。税務調査の同行費がかかりますけど、無駄な税金を支払うリスクが減るでしょう。
節税効果が期待できる
会社設立後に専門家に依頼すれば、節税効果が期待できます。あなたの会社を専門家が分析をして、アドバイスをもらえます。
自力で節税対策ができる人は、税務知識のある人だけです。一般的な経営者なら、専門家に依頼した方が節税効果があるでしょう。
会社設立後の費用なら経営サポートプラスアルファに相談しよう!
紹介したとおり、会社設立後には費用がかかります。あなた会社設立するのが目的ではないと思います。
会社設立後が大切なので、専門家のサポートが必要です。そのため、会社設立の実績が豊富で、専門知識のある経営サポートプラスアルファに相談してください。
会社設立の手続きはもちろん、設立後のサポートもしています。専門家視点のサポートもできて、モチベーションの高いスタッフが多いです。
会社設立からのワンストップサポートを求めている人は、経営サポートプラスアルファに相談してください。