これから工務店を開業してみたいと考えている人がいるでしょう。
現在、現場で働いているような人は、独立して工務店を設立したいと考えるはずです。
ただ、自分で工務店を設立してみたいとは考えるものの、具体的に何をすれば良いのかはイメージできないでしょう。
今回は自分で工務店を設立してみたい人に向けて、必要な準備や手続きなど最低限知っておいてもらいたい情報をご説明します。
基本的に工務店の開業には許可は不要
工務店を開業するにあたり許可が必要なのではないかと気にしている人が多いでしょう。
イメージとして工務店を開業するためには許可が必要だと思われているようです。
ただ、実際には工務店を開業するために許可は必須ではありません。
特別な資格なども必要ないため、まずはこの点をご説明します。
許可がなくても工務店の開業はできる
工務店は法律上、建設業に該当する仕事です。
実際には細かい部分がありますが、木造建築や鉄骨造などの建築物を、新築したりリフォームしたりするなどの工事に対応する会社などを指します。
この点は皆さんもイメージできるでしょう。
このように工事を行う事業者の場合、何かしら資格や許可が必要だと思われがちです。
しかし、実際には工務店を開業するにあたり必須の資格や許可は存在していません。
受注できる仕事さえあれば、今すぐにでも工務店を設立して仕事を開始できます。
事前に許可や資格が必要となる仕事は、独立や事務所設立のハードルが高まってしまいます。
今回のように工務店の設立を思い立っても、許可が必要となるとなかなか思い切った行動ができないでしょう。
資格や許可が取れなかった際のリスクが大きいからです。
しかし、ご説明のとおり工務店は特に必要な許可や資格が存在していません。
万が一のことを想定する必要はなく、自分のペースで工務店の設立は可能です。
受注金額が500万円以上の場合は建設業許可が必要
工務店で受注する案件が1件あたり500万円以上になると、建設業許可を取得しなければなりません。
工務店に限らず工事をするような事業は、受注金額によっては建設業許可を取得しなければならないのです。
大きな金額を受注するためには建設業許可が必要となりますが、この許可の取得要件が複雑です。
具体的には以下の要件を満たしていないと建設業の許可は取得できません。
- 経営業務の管理責任者等の設置
- 専任技術者の設置
- 誠実性があること
- 自己資本が500万円以上であること
そのため、新しく工務店を設立した段階では、建設業許可を取得するのは難しいかもしれません。
十分な資金と人材が集まっていれば申請できるかもしれませんが、事業を拡大していく過程で申請するようにしてもよいと思われます。
また、建設業許可は申請してから許可が下りるまでに時間を要します。
工務店を設立する際に建設業許可も取得したいと考えるならば、計画的に申請をして無駄な時間が生じないようにするべきです。
工務店を設立する際に必要な準備
自分で新しく工務店を設立するならば、様々なものを準備しなければなりません。
工務店設立にあたり許可や資格は必要ないためこれらに関する準備は必須ではないものの、業務をスムーズに進めるための準備が必要です。
具体的に工務店設立のためにどのような準備をしなければならないのかご説明します。
工務店の準備1:備品
工務店を設立するならば、多くの備品を準備しなければなりません。
どのような仕事を受注するのかによって左右されるものの、準備するものは多いと考えましょう。
例えば以下の備品を用意します。
- 測量機器
- 測定機器
- 設計などに利用するソフトウェアやパソコン
- トラック
- 工務店の営業に関わる書籍等
特に専門的な機械や設備については、注文してすぐに手に入るとは限りません。
注文するのが遅れると、独立するまでのスケジュールに影響が出てしまう可能性があります。
なお、備品は設立してから徐々に揃えていく方法もあります。
まずは最初に受注したい仕事に適した備品を揃え、そこから拡大する計画とするのも悪くはありません。
工務店の準備2:資金
工務店を設立する際には多めの資金を用意しておくべきです。
上記でも触れたとおり、工務店では備品を揃える必要があり、これにはお金を要します。
先のことを見据えて多めの資金を用意しておきたいものです。
建設業許可を取得するならば、最低でも500万円は必要です。
そのため、許可を申請する人は最低でも500万円は用意しているでしょう。
ただ、備品の購入などの費用を踏まえると、設立が完了してからも自由に利用できるお金を多く用意しておくべきです。
建設業許可を取得しない場合でも500万円やそれ以上あるとなお良いでしょう。
工務店の設立する大まかな流れ
ここまで具体的に工務店を設立するためにどのような準備をしなければならないのか理解してもらえたでしょう。
続いては工務店を設立するにあたり、どのような手続きが必要となるのかを以下の流れで大まかに説明していきます。
- 工務店設立の計画を立てる
- 設立に必要な事務手続きをする
- 工務店の運営に必要なものを調達する
- 営業を開始する
それぞれについて具体的に何をしなければならないのかご説明します。
工務店を設立する流れ1:工務店設立の計画を立てる
まずは工務店を設立するための計画を立てなければなりません。
何も考えずに工務店の設立を思い立っても、思うように物事が進まないのは言うまでもありません。
必ず計画を立てて無理のない範囲で進めていけるようにしましょう。
まず、最初に考えてもらいたいことは、個人で工務店を設立するか法人で工務店を設立するかです。
工務店は個人でも法人でも設立可能な業種であるため、自分がどのような工務店を展開したいかによって選択しなければなりません。
個人と法人の違いは、主に設立にあたり負担がかかるかどうかや社会的信用力です。
まず、個人で工務店を設立すると設立にかかる時間や金銭負担を小さくできます。
個人で設立する場合は個人事業主の届出をすれば良いため、税務署に対して必要な書類を提出するだけです。
自分で記入できる程度の簡単な内容であるため、特に心配することはありません。
また、届出するにあたり費用なども発生しません。
それに対して、法人で工務店を設立すると会社設立の手続きが負担になってしまいます。
法務局に様々な書類を提出する必要があり、書類作成に時間を要してしまいます。
また、登録免許税の支払いが必要ですし、資本金も用意しなければならないなど金銭的な負担が大きくなります。
しかし、個人は設立が簡単なため社会的信用力が低いデメリットがあります。
工務店に限らず個人のビジネスは信用力が低いと考えられているためやむを得ません。
それに対して法人は一般的に信用力が高いと考えられ、工務店の設立についても同様です。
これらを加味して個人か法人かの決定が終われば、事務所の場所などを検討する必要があります。
検討事項は個人と法人で大きく異なるため、その都度必要なものを考えるようにしましょう。
工務店を設立する流れ2:設立に必要な事務手続きをする
検討した内容を踏まえて工務店を設立するための手続きをします。
個人の場合は個人事業主の届出をしますし、法人の場合は法人登記をします。
ご説明したとおり個人は簡単な書類を提出するだけであるため負担ではありません。
注意しなければならないのは、法人で工務店を設立する場合です。
必要となる書類の数が多く、自分での対応は難しいかもしれません。
もし、法人で工務店を設立するにあたり法人登記が不安であれば、経営サポートプラスアルファにご相談ください。
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工務店を設立する流れ3:工務店の運営に必要なものを調達する
工務店を運営するにあたり必要なものを調達していきましょう。
上記で触れたとおり、工務店は設立前に多くのものを用意しなければなりません。
調達に時間を要するものがあるため、計画的な調達を心がけるべきです。
また、法人で工務店を設立する場合は、調達するタイミングに注意をしなければなりません。
法人名義で契約しなければならないものは、法人登記の手続きが終わってからでないと調達ができません。
場合によっては早目に法人登記を済ませておくなどの対応が必要となります。
逆に契約者を意識する必要がないものは、このタイミングの調達ではなくても差し支えありません。
工務店の設立に向けて少しずつ備品などを調達しておいても問題ないのです。
例えば消耗品などは契約書などを意識する必要はないため、事前に調達しておいても差し支えありません。
工務店を設立する流れ4:営業を開始する
必要なものの調達が終わり準備ができれば、後は工務店としての営業を開始するだけです。
基本的に工務店の営業には許可や資格が必要ないため、自分なりに準備ができればすぐに営業を開始できます。
もし建築業許可を申請していても、許可が必要のない仕事についてはすぐにでも取りかかれます。
営業を開始する際に意識してもらいたいのは、事前に案件などの確保を進めることです。
工務店を設立してから営業活動をすると、しばらくは売上のない期間が生まれてしまいます。
これは金銭的な負担になる可能性があるため、できるだけ避けるべきでしょう。
もちろん営業活動したからといって、必ず事前に案件を獲得できるとは限りません。
ただ、可能な限り案件を獲得できるような努力をしておいて、工務店を設立したらすぐにお客さんの元へ向かえるようにしておきたいものです。
まとめ
工務店の設立についてご説明しました。
工務店は何かしら資格が必要な仕事だと思われがちですが、実際には必須の許可や資格などは存在していません。
場合によっては建設業許可が必要となりますが、工務店を設立した後に申請する流れでも差し支えはないでしょう。
工務店は個人でも法人でも設立が可能であるため、どちらにするかよく考えなければなりません。
それぞれにメリットやデメリットがあるため、それを加味して判断するようにしましょう。
なお、工務店の設立で法人を選択するならば、法人登記の手続きをしなければなりません。
ただ、これには専門的な知識が必要となり負担を感じる人が多いでしょう。
そのため、法人登記をしたい場合は経営サポートプラスアルファにご相談ください。
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