自分でも新しく始められる仕事にリサイクルショップが挙げられます。
販売したい商品さえ用意すれば開業できるイメージがあるため、事業の選択肢として挙がりやすいのでしょう。
確かに事業内容はこのようなイメージで間違いありませんが、実際に開業するとなるとリサイクルショップはそこまで簡単な話ではありません。
開業にあたり許可が必要になるなど準備が必要です。
今回はリサイクルショップの開業方法についてご説明します。
リサイクルショップは古物商許可がなければ開業できない
リサイクルショップの開業を考えているなら、必ず古物商許可を理解しなければなりません。
リサイクルショップはフリーマーケットのように、不要なものを自由に売買できる仕組みではないのです。
警察署に出向いて古物商許可を取得しなければ法律違反となってしまいます。
まずは古物商許可について正しい理解を持っていきます。
古物商許可の概要
警察署で申請できる古物商許可とは、古物の売買などをする場合に取得しなければならない免許です。
リサイクルショップを開業する場合、事業内容は「古物営業」と呼ばれるものに分類されるため、警察署で免許を取ってからリサイクルショップの開業をしなければなりません。
ただ、古物と言われても理解できない人が大半でしょう。
これについては古物商営業法第2条で定義されていて「一度使用された物品若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。」が古物に該当します。
やや難しい定義ですが、今までに売買されたことがある商品は古物に該当すると考えてよいでしょう。中古とは異なり、対象となる物品が過去に利用されているかどうかは重要ではありません。
なお、古物商営業法では古物の定義が記載されているだけではなく、古物の売買に許可が必要な旨も定められています。
この法律に基づいて警察署は古物商許可の免許を発行しているため、法律を無視してリサイクルショップの開業はできないのです。
具体的な古物商許可の必要な取引
どのような商品の売買に古物商許可が必要となるのかは、古物営業法施行規則で定められています。
例えばリサイクルショップで以下の商品を扱う場合は、開業にあたり古物商許可が必要です。
- 美術品類
- 衣類
- 時計・宝飾品類
- 自動車
- 自動二輪車及び原動機付自転車
- 自転車類
- 写真機類
- 事務機器類
- 機械工具類
- 道具類
- 皮革・ゴム製品類
- 書籍
- 金券類
大きく13種類に分類されています。
これらに該当する商品を取り扱うリサイクルショップを開業する場合、古物商許可を取得しておかなければなりません。
内容を確認してもらうとイメージできるはずですが、リサイクルショップで取り扱うものが多く含まれています。
例えば衣類や道具類、書籍などは取り扱う可能性が十分あるでしょう。
このような具体的な内容を踏まえても、リサイクルショップの開業には古物商許可が必要であると理解してもらえるはずです。
リサイクルショップを開業するために古物商許可を取得する方法
リサイクルショップを開業するために最初に理解しておくべきは古物商許可の申請方法です。
まずは警察署にどのような申請が必要となるのかご説明します。
古物商許可申請の準備
申請にあたりまずは専用の書類を用意しなければなりません。
必要となる書類は個人でも法人でも同様で「許可申請書(古物営業法施行規則別記様式第1号)」です。ただ、この書類に添付する書類の内容が個人と法人で以下のように異なります。
個人の場合
- 略歴書(本人と営業所の管理者)
- 本籍(外国人の方は国籍等)が記載された住民票の写し(本人と営業所の管理者)
- 誓約書(本人と営業所の管理者)
- 身分証明書(本人と営業所の管理者)
- URLの使用権限があると証明できるもの(ネットショップ開設時)
法人の場合
- 法人の定款
- 法人の登記事項証明書
- 略歴書(役員全員と営業所の管理者)
- 本籍(外国人の方は国籍等)が記載された住民票の写し(役員全員と営業所の管理者)
- 誓約書(役員全員と営業所の管理者)
- 身分証明書(役員全員と営業所の管理者)
- URLの使用権限があると証明できるもの(ネットショップ開設時)
それぞれの書式は警視庁の公式サイトなどでダウンロードできます。
記入方法なども紹介されているため、それらの情報を踏まえて必要書類を作成するとよいでしょう。
また、用意しなければならない書類などの説明があるため、そちらも参考にして必要書類を用意するのがおすすめです。
警視庁のサイトを確認してもよく分からない場合は、最寄りの警察署にリサイクルショップの開業について相談すると必要な書類を提示してもらえます。
なお、古物商許可を取得する際には、営業所に管理者が必要です。
そのため、申請者と管理者の情報がそれぞれ必要となります。
個人のように申請者と管理者が一致する場合は別々の書類を用意する必要がありませんが、法人などで申請者と管理者が別になる場合はそれぞれ必要です。
加えて、複数のリサイクルショップを開業する場合、営業所ごとに管理者を用意しなければなりません。
兼任はできませんので営業所の人数だけ管理者を用意する必要があり、それぞれの管理者について添付書類を用意しなければなりません。
警察署での申請
必要な書類が揃えばリサイクルショップを開業するために警察署で古物商許可の申請手続きをします。申請先はサイクルショップを開業するエリアを管轄している警察署であるため、間違えないようにしましょう。
申請の際には手数料が発生しますが、書類を提出すると他に対応することはありません。
警察署の担当者が内容を確認して、問題がなければ古物商許可の免許が取得できます。
ただ、実際には書類内容の不備などで修正を依頼されるケースが多いようです。
指示があった場合は対応しなければ手続きが進まないため、できるだけ早く対応するようにしましょう。
また、そもそも古物商許可の申請は処理に時間がかかり、免許が取得できるまで提出日から40日から60日程度必要です。
書類の訂正に時間を要する可能性も含め、リサイクルショップの開業には時間的な余裕を持つようにしましょう。
問題なく書類が受理されると古物商許可の免許を取得できます。
これが取得できるとリサイクルショップの開業ができるようになるため、申請が終わってからは開業の準備などをするようにしておくと良いでしょう。
リサイクルショップを開業する手順
リサイクルショップを開業するまでの手順は大きく以下のとおりです。
- リサイクルショップの形態を決める
- 法人登記をする
- 古物商許可を申請する
- リサイクルショップに必要なものを準備する
- 古物商許可証を受け取りする
リサイクルショップの開業に向けて何をする必要があるのかご説明します。
リサイクルショップの形態を決める
最初にリサイクルショップの形態を決めます。
リサイクルショップを店頭で運営するのかネットで運営するのかを考えなければなりません。
ネットで運営する場合は古物商許可を取得する際の手続きが変化してきます。
また、個人で経営するのか法人で経営するのかの決定が必要です。
こちらもどちらで経営するのかによって、古物商許可の申請内容が異なります。
用意しなければならない添付種類にも変化がありますので、事前に決定しておかなければなりません。
基本的には古物商許可を意識して決定するものですが、店頭で経営するかネットで経営するかによって必要資金など準備するものにも変化があります。
それらも踏まえてできるだけ早い段階で決定しておきましょう。
法人登記をする
リサイクルショップを法人で開業するならば、事前に法人登記をしなければなりません。
法人登記には時間を要するため、リサイクルショップを法人として開業する場合は手続きを急がなければなりません。
ただ、法人としてサイクルショップを開業する場合でも、既存の法人で開業するならば法人登記について意識する必要はありません。
リサイクルショップ開業のために法人登記をするならば、必要事項の決定から印鑑の作成、資本金の払込みや書類作成など多くの作業が待っています。
また、それぞれの作業に時間を要するだけではなく、法務局に書類を提出してから法人化設立されるために2週間ほど待たなければなりません。
もし、リサイクルショップ開業のために法人登記をするならば、手数料無料で24時間受付の経営サポートプラスアルファにご相談ください。
法人設立のプロがいるため、法務局へいち早く書類提出ができるようにサポートします。
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古物商許可を申請する
準備が完了すると古物商許可の申請をしましょう。
法人で古物商許可を取得する場合は法人登記が済んでいなければ申請ができません。
法人登記の手続きが完了してから申請すると理解しておきましょう。
申請方法については上記でご説明したため割愛します。
注意しておいてもらいたいのは、店頭でのリサイクルショップを開業する場合、申請時に営業所の住所が必要です。
事前に物件などを決定しておかなければ申請できないため決めておくようにしましょう。
なお、個人の自宅住所や法人登記している住所でリサイクルショップを開業する場合はこの限りではありません。
リサイクルショップの開業方法によって住所が必要となるかどうか異なるため、開業方法を踏まえて対応するようにしましょう。
リサイクルショップに必要なものを準備する
ご説明したとおり、古物商許可を申請してから受理されて免許を手に入れるまでには時間を要します。
そのため、申請してから受理されるまでの間に、リサイクルショップの開業に必要なものを準備しておきましょう。
リサイクルショップを開業するためには様々なものの用意が必要です。
まず、販売する商品を仕入れなければなりません。
商品がなければリサイクルショップとして成り立ちませんので、商品が枯渇しないように余裕を持って仕入れておきましょう。
また、リサイクルショップを実際の店舗で開業するならば、店舗の内装などを整えておかなければなりません。
また、売上を管理するためにPOSを導入するなど、各種機器などの導入も済ませておかなければなりません。
導入するものによっては調達に時間を要するため、できるだけ早く準備に着手しておくべきです。
また、ネットショップで開業するならば、構築したショップに商品の登録作業などをしなければなりません。
商品を仕入れるだけではなく登録作業が必要となるため、店頭で商品を販売するよりも時間がかかりやすくなります。
古物商許可証を取得する
申請した内容に問題がなければ、申請内容が受理されて古物商許可証が発行されます。
警察署から連絡が来ますので、リサイクルショップ開業のためにできるだけ早く受け取りに行きましょう。
なお、リサイクルショップは古物商許可証を受け取りしてからでなければ開業できません。
そのため、準備が早く終わっても許可証を受け取りするまでは営業ができない仕組みです。
受け取りが遅れるとそれだけ開業日が後ろ倒しになってしまうため、警察署からの連絡を受けてできるだけ早く受け取りに行かなければなりません。
まとめ
リサイクルショップの開業方法についてご説明しました。
リサイクルショップは簡単に開業できるイメージがあるかもしれませんが、実際には古物商許可が必要など時間を要します。
許可を取得していなければ法律違反となるため、必ず警察署に申請しなければなりません。
古物商許可の申請をする際には、様々な情報を用意しなければなりません。
個人で申請するか法人で申請するかによっても異なるため、どちらでリサイクルショップを開業するのかは事前に決定しておくべきです。
必要に応じて法人登記もしなければなりません。
リサイクルショップの開業にあたり、古物商許可の取得が不安な場合は行政書士法人経営サポートプラスアルファにご相談ください。
可能な限り短時間で免許を取得できるように、スムーズな書類作成をサポートします。