こんにちは、今回は新会社の設立に関してとなりますが、2006年から日本の会社経営の規定が変更されたこともあり、少し前の日本とは会社経営に関する状況が変わっております。
そのため、今の日本ではどのような会社の種類があるのか、それぞれの会社の種類によってどのような特徴があるのか、そして、新会社を設立する際にはどのような点に気を付けなければいけないのかについて、詳しくご紹介していきます。
日本の会社の企業形態とは
日本では2006年の会社法施行により、株式会社と並んで主流であった、「有限会社」を新会社として設立することが出来なくなりました。そのため、今の日本で新会社として設立することができる会社形態は「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4つがあります。
どの会社形態も扱いとしては法人として扱われますが、それぞれの会社形態によって新会社を設立するための初期費用や、維持するための費用、企業としての規定などが変わっており、その会社形態が向いている企業もあれば、向いていない企業もあります。
そのため、まずはそれぞれの会社形態に関してご紹介していきます。
株式会社
株式会社とは今の日本の中で一番有名であり、多くの企業が設立している会社形態です。
主に日本の大手企業はこの株式会社として設立をしており、信用度の高い企業のほとんどは株式会社で設立をしています。また、最近でも新会社として会社を設立する際の約4分の3は株式会社として設立されているのです。
もともと株式会社を設立する際には、資本金として1,000万円が無ければ設立することができませんでしたが、2006年の会社法施行により、その資本金は1円からでも設立することが可能となったのです。また、有限会社を新会社として設立ができなくなったのは、株式会社が1円から設立することができるようになったことで、有限会社と株式会社を種類分けする必要がなくなったことが要因と言われております。
このように株式会社の設立がやりやすくなったこともあり、最近では株式会社で設立する人が増えてきています。しかし、いくら株式会社と言えど、新会社を設立する際の資本金の金額があまりにも低いと社会的信用に影響を与えかねない為、1円で立ち上げられるからと言って1円から立ち上げてしまうと、株式会社として新会社を立ち上げる必要性が欠けてしまうとも言えるでしょう。
合同会社
次に、2006年の会社法施行により、有限会社を新会社として設立ができなくなったのと引き換えに、新会社としての設立ができるようになった”合同会社”です。
合同会社とは、もともとはアメリカのLLC(Limited Liability Company)という、アメリカでは株式会社と同じくらいの比率で設立されている会社形態をモデルにされて導入され、今まで日本ではなかった会社形態として取り入れられたのです。
当時の有限会社のメリットとしては、その設立に掛かる費用の安さであり、株式会社が新会社を立ち上げる時に資本金が1,000万円必要だったのに対し、有限会社は300万円で新会社の設立ができていたのです。
今では株式会社が資本金を1円からでも新会社の設立が可能になったことと共に、合同会社も資本金1円で新会社の設立が可能になっています。
新会社を設立する際に掛かる費用は後ほど詳しくご紹介しますが、新会社を設立する際には資本金以外の費用が掛かってきます。
株式会社に比べて社会的信用としては少し低くなってしまうのが、合同会社を設立する際のデメリットとなってしまうでしょう。
合名会社
日本ではその会社形態の種類によって、会社が生み出した負債の責任の負い方が変わってきます。
その種類としては「有限責任」「無限責任」「間接責任」の3種類となっており、”有限責任”は会社が倒産してしまったときに、出資した額や自身の財産の限度内の負債責任を負うことになります。
これに対し、”無限責任”とは会社が倒産してしまったときの負債の上限がなく、全額を支払う責任を負う事になり、その際は自身の財産を持ち出してでも返済をしなければなりません。
なお、株式会社では”間接責任”という種類のものであり、株主などは、債権者に直接責任を負うのではなく、出資した会社に出資額だけの責任を負う事になります。
合名会社はこの3つの種類のうちで無限責任を負う社員のみで構成される会社形態です。
他の種類の会社形態に比べてもリスクが高くあるため、信頼できる仲間同士で設立されることが多い傾向にあります。
合資会社
合資会社とは、有限責任社員と無限責任社員から構成される会社形態であり、新会社の設立時には最低でも2人が必要となるのです。また、会社が負債を負った際の責任は無限社員が全て負うことになるため、非常にリスクが高い会社形態と言えます。
合資会社では、合同会社と同様に設立がしやすかったり会社経営の自由度が高いという点がメリットとなりますが、何よりも無限責任社員のリスクの大きさや設立時には最低でも2人いなければいけないため、1人での設立ができないというデメリットもあります。
新会社を設立する際に掛かる費用とは
次に、新会社を設立する際の費用についてですが、会社法施行により社会的信用が低くなってしまうとはいえ、資本金が少なくても設立をすることは可能ではあるため、資本金は設立をする人次第で変わってきます。また、事務所を立ち上げる際の土地や、建物を立てるときに掛かる費用も人それぞれによって変わってくるため、考えないものとします。
会社の設立時に掛かる費用を株式会社と合同会社を比較してご紹介していきます。
費用がかかる種類は次の通りです。
- 定款用収入印紙代
定款用収入印紙代は新会社を設立する時に掛かってくる費用であり、40,000円がかかります。しかし、電子定款で作成することでその40,000円を払う必要がなくなります。
- 定款の謄本手数料
こちらは定款の謄本交付料ですが、株式会社では1ページあたり250円が掛かり、約2,000円が掛かってきますが、合同会社では新会社を設立する際でもこの費用は掛かりません。
- 定款の認証料(証人に支払う手数料)
こちらは定款の証人に支払う手数料となっており、株式会社では50,000円が掛かりますが、合同会社では新会社を設立する際にはこの費用も掛からずに無料となっています。
- 登録免許税
こちらは株式会社、合同会社共にかかる費用ですが、その金額に差があります。
株式会社の場合だと、150,000円または資本金額×0.7%のうち高いほうの費用が掛かり、合同会社の場合だと、60,000円または資本金額×0.7%のうち高いほうの費用が掛かりますが、株式会社に比べても約90,000円ほど金額に差があるのです。
新会社を設立する際に気を付ける事とは
新会社を設立する際にはトラブルがつきものです。そのため、新会社を設立する前にあらかじめ気を付けておくべきことがあります。
それを踏まえ、新会社を設立するにあたって特に気を付けるべきことについて、いくつかご紹介していきます。
資本金の金額
会社を立ち上げる際には必ず必要になってくる”資本金”ですが、先ほど株式会社についての紹介のときにお伝えしたように、2006年の会社法施行により、今では株式会社や合同会社の新会社は資本金が1円から設立することができます。
そのため、余計に費用をかけないようにと、少ない資本金で新会社を設立しようとする人も中にはいらっしゃいます。しかし、資本金の金額はその会社自体の社会的信用を左右する可能性もあるため、資本金が少なすぎると社会から信用がされにくくなってしまうため、自身の資金と相談しながら極力資本金は多めにできるように調整が必要でしょう。
今後の会社経営の体制や将来のビジョン
新会社を設立してからの経営ミスとしては、自身の経営ビジョンを見失ってしまうというケースが多くあります。
そのため、新会社を設立する際には、事前に設立後にどのようなビジョンで経営を進めていくかの方針や、どのくらいの規模にしてどのくらいの売り上げを上げるのか、将来的に上場をするのか、融資はどのくらいを必要となりそうなのかなど、決めておくべきことは数多くあるのです。
新会社の事務所を構える際の立地
新会社を設立し事務所を構えるときに重要なのは、事務所をどこに構えるかというところです。
新会社を設立して事務所を構える際に一番苦労するのは土地探しだとも言われていますが、事務所の場所によって、将来的に経営に影響すると言っても過言ではありません。
その理由としては次の通りです。
- 取引先との行き来
新会社を立ち上げた後にまず大変なのは、仕事を獲得することでしょう。その際にはお客様や取引会社との打ち合わせや営業活動をするケースもあるため、事務所と打ち合わせ先を行き来することも多くあります。
打ち合わせ場所などが開かれるような場所から離れているような遠隔地に新会社の事務所を構えてしまうと、往復だけでもかなりの時間を取られてしまい、効率が非常に悪くなってしまいます。
- 社会的信用にもつながる事がある
先ほどは新会社を設立する際の資本金は社会的信用を左右するとお伝えしましたが、時には事務所の土地も社会的信用に影響することもあるのです。
主に東京都内ではそのようなケースが多く、新宿や赤坂などと言った、大手企業が多く事務所を構えているような場所に事務所を構えることで、高い家賃を払えている企業や、しっかりとした事務所を構えている安定した企業と思われ、社会的信用にも繋がることがあるのです。
新会社の設立と同時に税理士に頼むのかどうか
新会社を設立する際や、新会社を設立した後の経営を続ける際には必ずと言ってもいいほど、様々な手続きで書類や税金等の管理を余儀なくされます。
また、新会社を設立した後の仕事を獲得しなければいけない状況で、そのような書類関係の作業もやることはとても負担です。新会社を設立した9割以上が税理士に任せています。
あらかじめ無駄な書類作業等の時間を削減するために、新会社を設立すると同時に、税理士に任せるかどうかはあらかじめ決めておく必要があるでしょう。
<まとめ>新会社の設立は計画的に
ここまでで新会社を設立できる会社形態や、新会社を設立する際に気を付けることなどについてご紹介しましたが、まとめると”新会社を設立する際の会社形態は、自身のビジョンと近いものを選ぶべき”であると言えるでしょう。
新会社について様々な特徴をご紹介した中でもあったように、新会社を設立する際にはそれぞれの会社形態によって掛かってくる費用や、将来的に規模の広げやすさなどが変わってきます。
そのため、新会社を設立する際に自身が重視するべきものと、将来的に重視するもののバランスをうまく捉えるような新会社を設立することが必要となり、新会社の設立をするときに重視するものだけを物差しとして設立するのは、リスクがつきやすいと言えるでしょう。
これから新会社を設立しようとしている人は、自身が設立しようとしている新会社のビジョンと、その業界で活躍している企業がはどのような違いがありそうかを見極めておくといいでしょう。