こんにちは、今回は複数ある日本の会社形態の中で「有限会社」と「合同会社」の2つに焦点を当てていきます。
皆さまは会社形態の種類によっての違いについてはご存じでしょうか。
一概に違いと言っても、ただ単に会社形態の違いだけではなく、会社の設立の仕方の違いやその際に掛かる費用の違い、規定の違いなど、様々な面で違いが生じ、それぞれのメリットやデメリットなどがあります。
そのため、今回は有限会社や合同会社のメリットやデメリットなどを踏まえて、それぞれの会社形態の違いなどについて詳しくご紹介していきます。
日本の企業の種類
現在日本の会社形態の種類は、「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4つがあります。
以前までは「株式会社」「有限会社」「合資会社」「合名会社」の4つでしたが、現在の規則では有限会社が無くなり、合同会社が取り入れられています。
有限会社とは
日本の複数種類ある会社形態のうちの1つであり、以前は株式会社までにはしないという方が法人設立をする際に多く立ち上げていましたが、2006年の5月会社法施行によって、現在では有限会社の新設はできなくなっています。
有限会社が廃止となった経緯としては、株式会社の資本金額が1円に下げられ、株式公開が任意となり株式会社制度が柔軟となり、株式会社と有限会社を種類分けする必要性がなくなっために廃止されたのです。
有限会社のメリット
- 歴史のある企業だと思われる
最近では株式会社の設立がしやすくなっていることで、株式会社の母数が増えてきました。
以前では現在とは違い、株式会社の設立は簡単にはできず、有限会社として法人を設立する人が多くいました。
そのため、以前から有限会社で経営を続けており、有限会社として残っている企業は新設会社とは違い、少なくとも設立してから15年以上経っていると言えるため、長く続いている企業だと信用されやすいこともあります。
- 株式会社よりも設立しやすい
今では有限会社の新設が廃止されていることにより有限会社の設立はできませんが、当時は株式会社とは違い、比較的設立がしやすかったため、初めて起業する方の多くは有限会社として設立をしていました。
最近では資本金が小さい株式会社も多く設立されているものの、資本金が小さい株式会社よりも、長く続いている有限会社の方がやはり社会的信用が得やすい傾向にあるようです。
有限会社のデメリット
- 規模が小さいと思われがち
有限会社は設立後に長く続いている印象は持たれますが、どうしても株式会社に比べると会社の規模が小さくみられがちであり、最近では業界の種類にもよりますが、「株式会社でないと取引はできない」と言われてしまうこともあり、企業の営業年数よりも会社の種類を重視されてしまうケースもあるようです。
- 株式会社よりも信頼性が低くなってしまう
先ほど有限会社のメリットとして、資本金が小さい株式会社よりも信用が高いとお伝えしましたが、やはり通常規模の株式会社に比べてしまうと、どうしても信頼が低くなってしまうのは間違いないでしょう。
合同会社とは
合同会社とは、有限会社の廃止と同時にアメリカのLLCをモデルとして導入された、会社形態の種類のうちの1つです。「出資者=会社の経営者」であり、出資したすべての社員に会社の決定権があるのです。合同会社の代表者の役職は”代表社員”とされ、複数人の出資者がいる場合は代表が複数いるということもありえるので、その会社の方針の種類によっては代表が1人や複数いるケースがあります。
合同会社のメリット
- 設立費用が安い
どの種類の会社形態でも、会社を立ち上げる際には少なからず諸経費が掛かり、その費用は会社形態の種類によって異なります。
中でも合同会社は他の会社形態の種類に比べて安く設立をすることができ、最低でも6万円から設立できます。他の種類の会社形態との比較として、株式会社が最低でも約20万円ほど掛かると言われており、合同会社がいかに他の種類と比べて、安く設立ができるかという事がわかります。
- 組織の自由度が高い
その企業の方針の種類にもよりますが、合同会社では株式会社に比べても、会社の根本ルールとなる定款で職務内容などを定めることで、比較的自由度の高い組織運営を行う事ができます。
また、組織の種類も自由度が高く代表を複数設けた場合は、それぞれの得意分野での判断を委ねることで、あらゆる種類の意思決定をしやすくなることもあります。
合同会社のデメリット
- 社会的信用が高くない
合同会社では法人と言えど、他の種類の法人よりも比較的簡単に設立ができるという点や、株式会社のように決算公告の義務が無いため小規模で会社の状況がわかりづらい会社形態となっています。
そのため、合同会社では社会的信用を得ることが比較的難しく、新規取引先から「合同会社では取引をしない」や銀行から「合同会社では融資できない」と言われてしまう事も少なくないのです。
- 経営者同士のトラブルが起こりやすい
合同会社では会社の種類によって、代表者を1人か複数の代表者をつけることが可能という点をメリットでご紹介しましたが、これが時にはデメリットとなってしまうケースもあります。
複数の決定権を持った人がいるため、それぞれの意見が合わなかった際にトラブルの原因となり、社内崩壊に陥ってしまう恐れもあるのです。
有限会社と合同会社の違い
ここまで、有限会社と合同会社のそれぞれの特徴やメリット、デメリットについてご紹介してきました。
そこで、次はそれぞれの特徴を比べた上で、有限会社と合同会社の違いについてをご紹介していきます。
資本金
まず有限会社と合同会社での違いと言えば、資本金です。
有限会社の資本金はその時代によっても違い、一時期は10万円ほどでも設立が可能でしたが、最終的には10万円の時代とは違い、300万円が必要でしたが、合同会社の設立に必要な資本金も有限会社とは違います。
合同会社の場合はそもそも有限会社とは制度が違い、合同会社を設立する際の資本金はその会社ごとによっても違います。
合同会社の場合は最低でも1円から設立は可能ですが、資本金の額面はその会社における信用度に違いが出てくるのです。そのため、当たり前のように、資本金が1円の企業と100万円の企業に対する社会的信用に違いが生じてくるため、最低でも50万円は必要だろうと言われているようです。
監査役
先に結論を言うと、有限会社は監査役の設置が必要ですが、合同会社は有限会社とは違い、監査役の設置は不要なのです。
しかし、有限会社でも会社法施行により、特例有限会社というものに変更するに伴い、監査役に関する制度にも違いが出てきたのです。
特例有限会社とは簡単に言うと、会社法施行後に残っている有限会社を株式会社として扱う形態であり、以前の有限会社とも少し制度などに違いが生じています。
新しい設立の可否
先ほどもご紹介したように、有限会社は会社法施行により以前とは違い新しく設立することはできませんが、合同会社は有限会社とは違い、新しく設立することができます。
大手企業の設立比率
皆さんも大手企業が有限会社で会社を立ち上げているという事はあまり聞かないでしょうが、実はそんな有限会社とは違い、最近では大手企業が合同会社で新しく会社を設立するケースが増えてきているのです。
特にアメリカでは日本と違い、大手企業も含め合同会社の比率は株式会社にも近いほどです。
最近の日本でも以前とは違い、大手企業が合同会社で新しく会社を立ち上げるようになったのは、有限会社の新設が廃止になったこともそうですが、主な要因としては、合同会社が他の会社形態とは違い、設立が手軽だという事があるでしょう。
合同会社のメリットでご紹介したいように、合同会社の他の企業との違いには、合同会社を新しく設立する際の初期費用の違いや、維持するためのランニングコストの違いだけではなく、設立にあたっての時間の早さの違いも大きな要因だと言えるでしょう。
合同会社の設立が向いている事業の特徴とは
ここまでで合同会社の特徴と有限会社の特徴を見比べて、それぞれの違いについてご紹介してきましたが、今後、合同会社として新しく会社を立ち上げるのが向いているのはどのような事業なのかについて、合同会社と有限会社を含めたその他の企業との違いにも注目して、ご紹介していきます。
一般消費者(BtoC)の事業
合同会社の最大のデメリットは、ここまででもご紹介してきたように、社会的信用の低さにあります。
個人事業主と比べた際だと、会社ではない個人事業主とは違い、会社として見られるという点で合同会社は社会的信用が高いと言えますが、どうしても有限会社や株式会社と違い、設立のしやすさや平均的に資本金が少ない点を見ると、社会的信用が低くなってしまいます。
そのため、企業とは違い、取引相手を有限会社や株式会社のような会社として判断を重要視しない、個人消費者向けの事業であれば問題なく経営を進めることができるでしょう。
小規模事業
有限会社とは違い、設立のしやすさや、資本金を自身の予算に合わせられるというような合同会社の性質上、やはり小規模な事業に向いていると言えるでしょう。
また、合同会社では上場ができないため、将来的に上場を目指したり、大きい規模の会社を目指しているのであれば、合同会社とは違い、上場や資金調達がしやすい株式会社を選んだ方が良いと言えるでしょう。
<最後に>合同会社と有限会社の見比べ
ここまで、合同会社と有限会社の特徴やメリットなどについてご紹介してきましたが、まとめると、”合同会社は有限会社に比べても手軽に設立ができ、小規模から始めたい人にはうってつけ”だと言えるでしょう。
以前からも有限会社の設立目的としては、「株式会社ほどは大きくしないけど、法人を作りたい」というような人が有限会社を立ち上げており、その点では、有限会社の新設ができなくなった今では、合同会社は有限会社の代わりになるとも捉えられます。
また、有限会社とは違い、費用や時間の面を踏まえても設立がしやすくなったという点では、合同会社は法人設立の敷居を下げてくれたと言えるでしょう。